もう連載は終わりましたが、新聞でたのしみにしていたのが「時代の証言者」です。
今回は村木厚子さん。
この連載では、かの有名な郵便不正事件だけでなく、幼少時からのエピソードから、退官後のいまの活動まで、ざざーっと書いてあるんですね。
で、そういえば、村木厚子さん自身が本を出していたはず、と図書館で3冊借りました。
ちなみに3冊のどこにも、コナン君のことは出ていませんでした。
同時に3冊を借りました
借りたのは以下の3冊です。
- 『あきらめない 働くあなたに贈る真実のメッセージ』
- 『わたしは負けない 「郵便不正事件」はこうして作られた』(聞き手・構成 江川紹子さん)
- 『自分の「ものさし」で生きなさい』(天台宗大阿闍梨 酒井雄哉さんとの対談)
3は天台宗大阿闍梨との対談ということもあって、だいぶ毛色が違う感じですが。
それはそれでおもしろかったんですよ。
あきらめない
村木厚子さんの人柄がわかるのが、この1冊かなと思います。
育った家庭のこと、仕事のこと、結婚、子育てとかいろいろ。
お茶くみの話だとか、ほかでも聞いたことがあるけれど、当時は本当にこんな感じだったのか、という。
これまでにかかわってきた仕事のことであるとか、セクハラの研究会の命名については、「時代の証言者」にもさらっと書いていありましたが、この本にくわしいです。
拘置所での刑務官とのやりとりだとか、持ち前の好奇心による拘置所内の買い物。
そういうこまごまとしたエピソードを、興味深く読むことができます。
むかし、拘置所について読んだ本の中に、麦飯がぼそぼそしておいしくないから、みそ汁で流し込んで食べた、と書いてありました。
しかし、村木厚子さんによると、麦飯がなかなかおいしくて、睡眠もとれたから肌の調子がよくなった、とか。
あと、拘置所生活のシンプルさは、畳2畳をすかすかに感じられるほど。
村木厚子さんは、拘置所を出たらモノを処分しようと思ったそうです。
整理しているつもりでも、人は気付かないうちに余分なものを持ったり、溜め込んでしまっているのかもしれません。人間にとって本当に必要なものは実はすごく少ないと感じました。(村木厚子『あきらめない』P.196より)
巻末には「勾留生活164日間を支えた149冊 全リスト」がついています。
ずいぶん幅広く読んでいるなー、と思ったら、いろいろな人から差し入れされたものを読んでいたそうです。
そこで「一日一生」を読み、天台宗大阿闍梨・酒井雄哉さんにつながるというー。
途中から「ローマ人の物語」を読み始めて、23巻まで読んでいるんですよ。
そして、「家族の思い」として、村木厚子さんの家族3人(ご主人と娘さん2人)の文章が載っています。
家族がこのような文章を書いてくれるというのが、ウラヤマシイ。
家族に信頼されるって、こういうことかよ、と思います。
わたしは負けない
郵便不正事件についてくわしく読みたいなら、2の「わたしは負けない」ですね。
「時代の証言者」では検事の個人名は出していないのですが、本の中ではきちんと出てます。
検事の作文、こわい。
検事ものとか法廷ものとかって、こんな感じでしたっけ?
第2部の対談相手が上村勉さんで、つまり、郵便不正事件で有罪が確定した係長なんですね。
巻末には上村勉さんの被疑者ノートが抜粋されています。
これがまたなー。
村木さんが負けなかったのはすごいことなんですよ、とわかる。
被疑者ノート内のトランプって、なにかの隠語だと思ったら、ほんとうにトランプしたらしい。
正義とか真実とか、検事にたいしていだいていたイメージとぜんぜんちがうのでおどろきました。
自分の「ものさし」で生きなさい
さらっと書かれているけれど、天台宗大阿闍梨の酒井雄哉さんの生い立ちなどを読みたくなりました。
40歳での得度にいたるまでの、あれこれだとか。
泥棒がいっていたことを思い出して歩き続けた修行のことなど、おもしろいです。
対談集なので、郵便不正事件についてはあまり語られていません。
当時の心のありかたなど、ところどころ出てきます。
まー、対談なので。
『あきらめない』の中に、酒井雄哉さんの『一日一生』を心の糧とした話が書いてあったので、そのうち読みたいです。
というようにして、そのうち読みたい本が、心の中につぎつぎと積み重ねられてゆくのでした。
ではまたー。