わたしが整体をならった整体院というのは、個人経営でした。
ワンマンです。
予約が取れないほど繁盛している整体院なのですが、受付嬢はいませんでした。
施術中にかかってくる電話は、数人の先生が交代で受けていました。
さいしょからそういうやりかただったので、疑問にも思わなかったのです。
しかし、いわれてみれば、繁盛している整体院って受付に人をやとっているものですよねぇ。
人をひとりやとうか、会計ミスを見のがすか
くり返しますが、わたしが整体をならった整体院は個人経営で、ワンマンで、やり手でした。
しろうとからはじめて、20年以上つづいている整体院です。
そのあいだに近辺の整体院、リラクゼーションといった競合店がつぎつぎと閉店していきました。
さて、わたしがお世話になった整体スクールでは、1年先輩の女性がすでに働いていました。
実際に働いている先輩がいる、というのは心づよいことでした。
そう、さきに働いている人とつながっていると、裏事情も伝わってくるのです。
いろいろな話をうかがっているときに、先輩がいいました。
「あの店がどうして受付をやとわないか知ってる?」
いわれてみれば、会計にしろ、予約のやりくりにしろ、ぜんぶ先生がたがおこなっているのです。
「受付をやとったら、1人分のお給料が必要でしょ? だったら、たまに会計が合わないことくらい、気にしないんだよ」
アーッ、なっとくです。
以前わたしも、お会計に出したお金を、先生から「これ、おつりだっけ? 受け取っていいんだっけ?」と真顔できかれたことがありました。
またあるとき、売り上げの計算が合わなかったらしく、「やっぱり、おつりだと思って返したのがまちがえていたのかもー」と先生がたが話していたのを聞いたこともあります。
だいじょうぶか、この店? そう思いました。
しかしそれでも、受付専門の人間をやといません。
なぜって、1人分のパート代よりも会計ミスの金額のほうが安いから。
なるほどねぇ、さすが考えることがちがう、と思いました。
正確であることよりも、トータルでどうか、ということ。
また、会計ミスについては問題追及しない考えでした。
だって、経営者の先生自身がうっかりミスしちゃう人だったから。
もちろん、働く側からしたら、受付専門のパートさんがいたほうが、負担は少ないのです。
しかし、経営者側からしてみたら、出るお金が少ないほうがいいですよねー。
だから経営者の先生のやりかたは、もっともなのです。
なるほどもっともだなー、と思うのです。
いろいろな面で、もっともだなー、と思うことを見聞きしつつ、わたしはその整体院には就職しませんでした。ハッハー
自分の直感にしたがったのです。
ではまたー。