くままごっこ、のおもいで。

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妄想的な、母親の、おぼえがきとして。

たしかそれは、娘が小学3年生のときでした。

そろそろ、怪談話というか、それほんとなの、うそなの、ねぇ、ねぇッ、というような子供の悲鳴、阿鼻叫喚のような。

そういう恐怖体験があってもいいかなって思って。

※以下、どうしようもなく母親の個人的な思い出記録

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新都市伝説・くままごっこ

まだおとうさんは帰ってこない、夕食前の時間です。

こどもたちが、おかあさんにいいました。

「ねぇねぇ、なにか、あそぼうよ」

「そうだ、くまごっこ、くまごっこをしようよ」

するとおかあさんの目つきがかわりました。

「くま……まごっこかい? くまま、ごっこ」

おかあさんの話し方がおかしかったので、こどもたちがたずねました。

「くまごっこじゃないの? くま、ま……ごっこ?」

しぃっ、とおかあさんがいいました。

「そんなおそろしいこと、いっちゃいけない。くままごっこをしたなんてしれたら、たいへんだからね」

こどもたちの顔に、わらいがのぞきます。

「なぁに、それ? ほんとう?」

「くままごっこー、したい」

こどもたちはわけもわからずにくままごっこと口にします。

けれども、おかあさんはまじめなかおで声をひそめているのです。

「くままごっこをしたなんてしれたら、おそろしいことになるよ」

「いわなければいいじゃん」

おねえちゃんがいいます。

「そうだそうだ」

と、おとうとがつづけます。

「わかっちゃうんだよ」

「え、なんで?」

こうやって、とおかあさんがみんなの手をにぎりました。

「くんくん、てして。まさかおまえ、くままごっこはしてないだろうね、ってきかれるんだよ」

「してないよって、こたえるよ」

「そうしたら、おかしいなあ、そんなはずはないんだけど、って、手をこうやって」

おかあさんの手が、おねえちゃんの手をにぎって、ゆびのいっぽんいっぽんをひらいて、くんくんしはじめました。

「あれぇ」

と、おかあさんがおかしな声でいいました。

おねぇちゃんがおもわず手をひっこめました。

「だからね、くままごっこは……できないんだよ」

こどもたちは顔をみあわせました。

くままごっこがなんなのか、ちっともわからないのです。

すると、しばらくしてから、おかあさんがケータイデンワをもってきました。

「おとうさんから、メールだよ」

おかあさんが子供たちに見せたメールには、こうかいてありました。

――これからかえります。くままごっこはしてないだろうね?

おねえちゃんの顔がこわばりました。

おとうとはわらって「なんで、くままごっこしってるの?」といいました。

おとうさんがかえってきて、おふろにはいりました。

おねぇちゃんは、おとうさんがかえってきたのに、なんだかうかない顔をしています。

おかあさんは……

(と、ここで、娘にわたしが夫にあてて書いたメールを見せました)

(わたしが夫に「くままごっこはしてないだろうね?」という文章を、メールに入れてもらったわけです)

(娘はさいしょ、意味を理解しなかった)

(それから「くままごっこ」がうそであると理解して、涙目になって、すわっているわたしのふとももを本気でなんどもたたきました)

(「こわかったんだから」と娘がいいました)

(「ごめんね」とわたしはいいました)

(それから、その手の話、こわいつくり話はしていません)

反省した。

ではまたー。

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