そういうの、読んだことがあります。
そのくらいの、なんだか現実味のない、つくり話めいたおはなしなのですが。
その当時から5年も経たない、平成の現代の話です。
ある女性の、お母さまの話です。
わたしは直接、そのお母さまを拝見したことがありません。
そのお母さまと自動車の窃盗のおはなしです。
お母さまがお散歩から帰られると、娘の自動車に乗り込もうとする母子がいました
聞いた話ですが。
わたしの暮らす、このあたりでは、自動車の盗難が多いのだそうです。
ねらわれる人気の車は決まっていて、ある家では2回も盗まれそうになって、とうとう車庫をつくったという話があるくらい。
それで、ある朝、お母さまがお散歩からもどられたとき、娘さんの自動車に見知らぬ母子が乗りこもうとしていました。
「もし、それはわたしの娘の自動車ですが?」
どんな声かけをしたのか、具体的にはわかりませんけれども。
娘の自動車に見知らぬ母子が乗ろうとしているので、お母さまは声をかけました。
おさない子を連れた母親は、自動車の窃盗をしているのだということ。
夫にいわれて、自動車の窃盗をくり返しているのだと。
そんな話を、なにがどうなってお母さまに話して聞かせたのか。
子連れですし、どうか見のがしてください、ということなのでしょうけれど。
お母さまは、盗みなんてしてはいけない、と話して聞かせて、その母親にお金をわたしたのだそうです。
その翌日か、数日後だったか。
娘さんの自動車のワイパーに、手紙がはさんでありました。
なにも事情を知らない娘さんが手紙を見つけました。
娘さんが手紙を読んで、お母さまに問いただしたところ、じつはこれこれこういうことがあった、と話したのだとか。
娘さんは、あきれたように話していました。
「やめるわけないでしょ。旦那がやってるっていうんだから」
お母さまがその母親にいくらお金を渡したのか、娘さんは聞いていないそうです。
手紙の中には、先日のお礼と自動車の盗難をやめる決意、人を信じてみようという気持ちになったこと、などが書かれていたのだとか。
いやはやなんとも。
できすぎた話である、と思います。
現実的な娘さんが、あきれた調子で話していたのも無理はないくらいに。
自動車泥棒の手口としては、早朝、自動車に鍵を差し込んだまま、自宅に忘れものを取りに行ったところをねらっています。
小さな子供をつれていたら、まさか、と思いますし。
お母さまの善行
そのお母さまについて、わたしが聞き知っていることのひとつは、なんどもガンにかかったことがあるということです。
そして、ある人のいうには、お母さまは人助けをしているから生かされているのだとか。
そんなスピリチュアルな話を聞いていて、さらに自動車盗難エピソードがあり。
なにやらすばらしいお母さまのおはなしをうかがっていると、そういうことが起こっても不思議ではない気がします。
そういうことが起こりうる世の中を信じてもいいのではなかろうか、という気がします。
だってね、自動車窃盗母子にばったり出くわし、さとしてお金を渡す、ここまではあったとしても、手紙が置かれているって、ちょっと、出来すぎてやしませんか、と思ってしまう。
でも、お母さまには、そこまでのことが起こるのです。
そしたら、お母さまがみずからの善行によって生かされているとしても、おかしくないんじゃないですかねー、くらいの気持ちです。
たぶん、ありだと思うんです。
こういう話が現代にあっても、おかしくないんじゃないかなー、と。
ではまたー。