中3娘のあと出しがあったのは、先週でしたか。
すでに、はるか昔のような心地がいたします。
というのも、私立高校の受験は終わりましたし、合格発表も終わっているからです。
さらには、一時入学金まで払っているんじゃー。
こちらから話しかけてあげましょう
中3娘のあと出し発言「私立高校を決めたのは母たち」から、一晩明けて翌日、険悪でした。
こちらとしては、たいへん不愉快なのである。
そして、その日の晩も中3娘とはほぼ会話なしで過ごしました。
でも、湯たんぽは入れといてあげました。
中3娘があと出し発言をしてから、二晩明けての朝。
わたしがなにごともなかったかのように、あたりさわりのないことを中3娘に話しかけました。
これで、終わりです。
中3娘は必死のかたい表情をやわらげて、通常どおりになりました。
わたし自身、チクチクしてやりたい気持ちはありましたけれど、いってどうなることではなし。
長引いても、つかれるだけです。
中3娘は「あたしはぜったいあやまらない!」「あやまったらまけ!」みたいな。
どうも、そんなことを考えていそうなタイプ。
「そっちが噛みついてくるなら、あたしだって!」と自分の身をまもるために必死に牙をむいている、みたいな。
小学生のころの娘は、はげしく怒り狂っても、翌日はケロリとふだんどおりの態度で接してきたので、こっちがめんくらったものでした。
夜ケンカして、朝もとどおり。
朝ケンカして、学校から帰ってきたら、もとどおり。
こっちは消化不良でして、娘の変わり身の早さについていけません。
これが、中学生になるとなかなかがんばって、2日くらい娘がけわしい顔をキープするようになりました。
そうなると、こっちが話しかけないと、和解とならないのです。
娘がどこまでけわしい顔をキープできるのか、ためしてみる手もありますが、そこは大人である40代母から話しかけて、険悪ムードの終了です。
夫の予言正解
そう、40代夫のいった 「そういうあれこれも、合格すればゴキゲンで、すっかりなかったことになるんだろう」は大当たりでした。
私立高校の合格発表があり、さいごのVもぎの結果がとどいて、中3娘は安心したみたいです。
というか、ちょっと浮かれています。たぶん。
そこが、わたしには理解できない部分なのですが、中3娘はわりと調子に乗るタイプ、のような気がするのです。
面と向かって「もっと、ほめて!」といわれたときは、ほんとうにおどろきました。
それに対して、わたしは「自分はほめられて育っていないので、ほめる件に関してはとうちゃんにお願いしていただきたい」とかなんとか、へっぴりごしで答えたような記憶があります。
そうした、わたしにはない部分におどろかされ、尊敬し、ハァ? となる日々育児です。
自分の考え方のクセについて思うこと
また、中3娘とのやりとりで思うのは。
中3娘との険悪なやりとりのあとに、わたし自身の中に生まれた冷たい気持ちは、長ずれば中3娘との断絶になります。
おそらく、わたし自身にはそういう気質がある。
それは、まだ複数いる兄のひとりが存命のときでしたが。
帰省の際に、ある兄が母にたいして「そうだね」としかいわないことに気がついたのです。
顔は、あくまでもおだやかである。
口元にうっすら笑みを浮かべていると見えるほどの、やさしい面持ちで「そうだね」とうなづく。
実家の母に対してだけ、そのような態度をとる兄。
そう気づいたとき、わたしは冷や水をかけられたような気持ちになりました。
わたしがその兄に話しかければ、ふつうに答えます。
父が話しかけても、おなじくいろいろと話します。
ところが、母が話しかけたときにかぎって、その兄は「そうだね」としか答えないのです。
そしてなにより、母はそのことにまったく気がついていませんでした。
しかも、「そうだね」といってやさしくうなづいてくれる兄に満足していたのです。
母の中では、自分がいろいろ話しかけて、兄がにこやかに「そうだね」と答えてくれれば円満らしいのです。
そう思ってその兄を見てみると、兄が母に向けるほほえみの底に、冷やかさが流れているように感じられてきました。
その兄の、母への対応に、当時30代の妹であったわたしが衝撃をうけたのは、わたしもまた他者に対して冷たい態度をとるとしたら、そういう態度をとることをえらぶと思ったからです。
どうしても交流を持たなければならない相手に対しては、「そうですね」といって、それ以上は会話をもたない、というような。
心の中で、切り捨ててしまう、ような。
おそらく、母は兄を怒らせたのだ。
兄は、そういう態度をとる人間なのだ。
そして、そういう態度をとられても、母は気がつかない人間なのだ。←ここがいちばんのショックポイント
そんなわけで、わたしは他人のふり見てわがふり直せで、中3娘の言動に対してあまり本気で怒ったりしないというか、時間を置いたら平常運転にするというか、そんなふうにしています。
わたしは兄のような態度を、夫や娘や息子に対して取りたくないのです。
もっとも、自分自身が他の家族3人から、兄のような態度をとられる可能性はありますけどね。
あれ、ふつうは気づくよな、と思います。
気がつかない母がいちばんおそろしかった、という話。
その後、ひとりの兄が急逝したことによって、残されたその兄は、母親に対して「そうだね」以外の言葉をかけていました。
自分の気に入らない相手に対して、冷たい態度をとる兄の、子供っぽいかたくなさを笑うことはできます。
しかし、話してもわからない相手(この場合は、母)だから、兄はそういう態度をとったわけです。たぶん。
そして、そんな態度をとられても、まったくわからない母がこわい。
「そうだね」と肯定されていれば、満足、ということなのかな。
そういう人が自分の母親である、ということを思い返しながら、思春期の中3娘に対応するわけです。
わたしもまた、母の似姿なのではないか、とうたがいつつ。
ではまたー。