先月、近所で引っ越しがありました。
その引っ越しが、どうしてわたしの関心をひいたか、といったら、そのアパートの住人は周囲を鉢植えだらけにしていて、おそらくそのために隣室はずっと空き部屋でした。
また、その鉢植えだらけのスペースに、デブネコが暮らしていたからです。
通いネコ、いまどきは地域ネコというのでしょうか。
その鉢植えだらけのアパートの敷地内には、何匹ものネコが出入りしていました。
デブネコとデブじゃないネコと
おそらく、近所では目立った存在の鉢植えだらけアパートでした。
そのアパートは周囲がアスファルトで固められていて、土はまったくありません。
鉢植えの持ち主は、アパートの角に暮らしている妙齢の女性でした。
夕方、鉢植えの手入れをしている姿を見かけました。
30鉢はくだらないであろう鉢植え群のすきまに、ときおりデブネコがいました。
そのアパートは道路から少々たかい場所にあって、歩いているとネコの目線と合うのです。
わたしがはじめてそのデブネコを見たのは、わが家がいまのアパートに引っ越して間もない頃、娘がまだ幼稚園にかよっていた時分でした。
ネコだ、と思って通りすぎようとしたら、デブネコが娘にたいして「キシャァアアアァア」と威嚇したのです。
娘もおどろいたと思いますが、わたしもおどろきました。
とくになにもしていない、ただの通りすがりの人間に対して、威嚇してくるとは。
しかも、大人であるわたしではなく、幼い娘をえらんで威嚇しよった、このネコ。
そう感じて、ちょっと不愉快だったのを覚えています。
その後、そのデブネコが、のたのたと道路をわたる姿を見ました。
円筒状の毛皮から、短い手足が伸びています。
おなかを引きずるほどではありませんが、いかにも重そうな体つきでした。
のちに思い返すと、そのときもデブネコは植木鉢だらけのアパートに向かって道路を横断していたのでした。
植木鉢だらけのアパートの周辺では、デブネコ以外のネコの姿もよく見かけました。
ネコカップルがいちゃこらしている姿や、道路をかけ抜けていく若いネコ数匹。
気配を感じて目を向けると、1、2、……5匹のネコがこっちを見ていたり、とか。
そんなわけで、どうやらそのアパートの住人が、ネコたちを愛でているのがわかりました。
そうでなかったら、あのデブネコがあそこまででっぷりとしていられるわけがないのです。
鉢植えが片づき始めた
そして、先月。
とつぜん、鉢植えだらけのアパートから、鉢植えが消え始めました。
そこの鉢植えには、つるバラをアーチ状に咲かせているものもあったりして、かなり大きい鉢植えも多かったのです。
それらの鉢植えが、すべてなくなっていました。
鉢植えがなくなった週末、そこのアパートの住人は引っ越していったみたいでした。
ネコは?
すくなくとも、あのデブネコは見かけなくなりました。
また、あのアパートによく集まっていたネコたちの姿も見かけなくなりました。
植木鉢の人が、連れていったのでしょうか?
いや、でも、総勢6匹以上はいたと思うし。
ここ5年くらい、この近辺にネコを見かけることが多くなりました。
回覧板には、ときどき地域ネコについての注意事項が掲載されています。
うちのアパートの庭に、ときどきくっさいネコのフンが埋まっていることがあります。←すぐ気づく
そうかと思うと、まったくくさくないネコのフンが埋まっていることもあります。←すぐ気づかない
⇒わたしはネコを愛するが、庭にウ○コしていくのはやめていただきたい。
鉢植えの住人が引っ越して、そのアパートはスッキリ片づいています。
でも、ネコたちはどこへ行ったのだろう、と思います。
雨の日がつづいているから、ネコたちを見かけないだけなのか、それとも鉢植えの住人が連れて行ったのか。
鉢植えの住人以外にも、ネコの世話をしているっぽい家々があるので、そういう家々がお世話しているのでしょうか。
また晴れたら、鉢植えだらけだったアパートのまわりにネコたちが集まるのか、それとも集まらないのか。
そのアパートの横を通るたびに、スッキリしたアパートの外観を見るたびに、ネコたちどうなったのかな、と。
そんな疑問を抱かざるをえない、のです。
あのデブネコ。
ではまたー。