先日、中1息子のかよう中学校で、絵を描く会がありました。
むかしでいう、写生会ですね。
同音異語問題ですかね。
それはともかく、絵を描く会で下描きまで仕上げた中1息子は、自宅で色塗りをするために絵を持ち帰ってきました。
その絵が、おどろきだったのですが。
それはともかく、自宅で色塗りを始めようとした中1息子がたずねました。
「先生が『ベタ塗りしないでね』っていったんだけど、ベタ塗りって、なに?」
あら、そこから?
ベタ塗りとは?
ベタ塗りというのは、濃淡のないおなじ色でびゃーっと塗りつぶす、そんなイメージです。
ペイントでいうところの、バケツ使い?
せっかくの水彩絵の具だし、先生が「ベタ塗りしないでね」っていったのもわかります。
しかし、残念なことに、中1息子には、そもそもベタ塗りという言葉の意味が伝わっていなかったのだなァ。
ベタ塗りって、ついふつうに使ってしまう言葉だけれど、専門用語ですよね。
ですから、中1息子には伝わっていませんでした。
そして、なんということでしょう。
中1息子の描いてきた下描きは、ベタ塗りに最適な風景画だったのです。
世界地図みたい
中1息子の風景画の下描きを見たとき、わたしは白地図だと思いました。
まさか、絵を描く会の下描きだとは思いませんでした。
文字も書き込んであったし、わたしが想像していた画用紙のサイズよりふたまわりも小さかったのです。
中1息子によれば、絵を描く会の時間は4時間ほどあり、その時間で完成しなかったら、あとは連休明けの美術の時間に描いて仕上げる、とのことでした。
各自がえらんだ場所で風景を見ながらかけるのは4時間弱、そのあいだに場所選び、下描きをして、色塗りまで仕上げるのはむずかしいです。
だから、絵の中に、「空」「黄緑」「緑」「茶」なんて文字が書き込まれていたのです。
な、なるほど。
話を聞けば、納得できます。
でも、斬新。
中1息子の絵は、ほぼ輪郭のみで描かれていて、枝の伸びかたは画一的、木々の葉のちがいもわからなし、影の描きこみもありません。
これで「黄緑」「緑」「茶」なんて指示どおりに描いていったら、ベタ塗り一直線です。
木の葉のてん、てん、てん、てん、てん
むかしもいまも、水彩画の木の表現は、ひらすらてんてんなのでしょうか。
高3娘が小学生のとき、授業中に描いた絵を、コンクールに出展するといわれて、放課後にひたすら描かされたのも、てんてんでした。
それで、今回、ベタ塗りを禁じられた中1息子に、てんてん技法を伝授したり、透明水彩の特質を生かして、もっと多めの水で溶くことなど、話したのですが。
なんというのか、子供の感性で自由にのびのび描かせるために、学校では基本の絵の具の使い方もあえておしえないのかな、と思うんですけど。
技術的なこと、こうすると、こう描けるよ、みたいなの、おしえてくれないのかな。
中1息子から、「これでいいかな」と見せられた、ちょっとムラがあるけどベタ塗り。
どうみても、ベタ塗り。
そんなとき、保護者は「いいよー、よく描けてるじゃん。その調子で残りの白い部分も仕上げちゃおうね!」というべきなの?
というわけで、連休中に中1息子を涙ぐませてしまったアラフィフ主婦です。
なんで、あの息子、簡単に泣いてしまうん?
それならわざわざたずねないで欲しい、という言葉を吐き出したくなるくらいには、こちらも心が沈みます。
ということはやっぱり、ほめほめでほめほめしておくのが、おたがいのためによいのかね。
遠近感とか光のあたりかたとか、それどころの話ではない。
場所の選び方でも、かなり違いがあると思うんですよ。
空を広くとって、楽するとかさ。
光る水辺なんて、自分に表現できる思うのか?
などなど、わたしの頭の中は、中1息子を泣かせてどんよりしたまま、ぐったり。
もうほんと、その、しくしく泣くの、わたしの胸が痛むから、やーめーてー。
というくらいの気持ちですね。
連休の最終日はヤメテ
しかも、そういうことを、連休の最終日の夕方から始めるのは、ヤメロ。
そのように思います。
とにかくさー、色ぬってさー、終わりにしちゃえばいいじゃん! そういう考え方なら、いいんですよ。
びゃーって塗って、終わりにすればいいじゃないですか。
でも、中1息子は、上手に描きたい、すてきに描きたい、みたいな気持ちがあるみたいなんです。
だから、わたしや夫に意見を求めるんですよね?
だったら、それなりの時間をかける覚悟をしておけよ、と思います。
絵というものを舐めくさっておるのではないか。
わたしが、中1息子にたいしてイラッと感じるのは、そういう点です。
とりあえず描けてればいい、って考えなら、「いいよいいよ、終わってよかったじゃん」なんですよね。
あーあー。
娘のときとはまたちがう、子供を泣かせてしまったときの後味の悪さです。
娘の場合ははげしくて、ギャーギャーしている感じだったのですが、息子の場合は、しずかにシクシクするから、こっちがもうたまらん気持ちになる、という。
もう、ヤメテクレ、という気分になるという。
そんな、連休の終わりだったな、っていう。
しかも、中1息子はそれから気持ちを立てなおして、わたしから見えないところでコツコツ描き上げて、「これはどう?」って見せてきたので、娘よりもメンタルはつよいのではないかと思っております。
むかしの娘だったら、「もう一生かあちゃんには見せない!」っていいそう。
ま、とにかく、まじかんべんしてほしい。
そんな脱力感を味わいます。
ではまたー。